営業設備の大要・配置図は裏表で1枚となっている用紙です。これに必要事項を記入していくわけですが、黒のボールペンか万年筆で記載します。
枚数は許可を取る業種数プラス1枚です。飲食店営業許可だけだったら2枚になります。
例えば、同じ施設で飲食店営業許可と菓子製造業許可を同時に申請する場合は2業種プラス1枚で3枚となります。
それでは用紙の書き方を見ていきましょう。
営業設備の大要の書き方
営業設備の大要
営業設備の大要には許可を取る店舗の施設・設備の内容を記載していきます。どうしてもわからない項目はとばして、保健所で確認してみて下さい。
建築様式
店舗を借りたときの賃貸借契約書に書いてありますので、該当する項目に○をつけます。構造が複数に当てはまるときは、それも選択します。
面積
面積は、営業設備の配置図を記載するときに、店舗の寸法を測るのですが、その寸法から面積を計算して調理場と客席にそれぞれ記入します。
調理場作業場または販売場
各項目、該当するものに○をつけます。
床
耐水性の材料で清掃しやすいことが必要です。床と壁のつなぎ目は90度ではなくアールが付いている方が汚れも流し易いです。
また排水性も求められるので床勾配は1/100か1/50が適当です。1m先がそれぞれ1㎝か2㎝下がる傾斜です。
雑菌は水分が多いと繁殖しやすくなります。乾物が常温保存でき、生ものが傷みやすいのはその為です。
使用しないときは乾燥した状態にするキープドライを心掛けましょう。
内壁
東京の場合、調理場内の床から1mまでの内壁(腰張り)は耐水性が高く、清掃しやすいことが求められます。
高さは少なくても1mなので実際はそれ以上あることが望ましいでしょう。
場所によっても求められる高さは変わってくるので、必ず確認しましょう。
天井
天井は壁との隙間が空いていてはいけません。調理場の配管ダクトや梁なども天井裏に収めます。
インテリアとの兼ね合いがあるので一概には言えないのですが、天井に限らず営業施設はなるべくフラットな作りにすると、ホコリが床に落ちるまでに引っかかる場所がなくなり清掃の手間が省けます。
異物混入のリスクも軽減できるでしょう。
内装の計画を立てる際には、デザイン性と共に機能性も考慮に入れましょう。
防虫・防そ(ねずみ)
昆虫やねずみなどを防ぐ為に、外部とつながる所に網戸や目皿を設置するものです。
調理場内の窓には金網張・合成樹脂製張、出入口は金網張・合成樹脂製張・自動開閉扉、排水口には金網張・鉄格子(鉄製目皿)が付いてればそれぞれ、該当するところを○で囲みます。
空調、換気
ほとんど機械式なので、機械による室温管理、動力換気をそれぞれ○で囲みます。
ばい煙等の換気
換気扇等の周りを排気フードで囲まれていたら、天がい(フード)と電気ファンに○をつけます。
排気フードを設置するときは、天井との結合部に隙間を開けないにします。
屋外にばい煙等を排出する場合は、ご近所とのトラブルに繋がらないように高さや方向に気をつけて下さい。
排気フードとグリスフィルターは油汚れが付きやすく、長く清掃をしないとこびりついて大変です。
汚れていると保健所より指導を受けますので、日課清掃、週課清掃に組み込みましょう。
採光・照明
明かりは自然光だけという店舗は少ないと思います。ほとんどが蛍光灯などの照明器具を使用している場合の人口の方に○をつけます。
照明は店のイメージを作る大事な部分ですが、調理場に関してはホコリが溜まる構造ですと、許可が下りない可能性もありますので注意が必要です。
照明器具はフードが付いているものや、蛍光灯が割れた際に飛散防止の為の処置がされているタイプもあります。
蛍光灯も結構、油でギトギトになりますので小まめに清掃しましょう。
給水
井戸水を使っている所は少ないでしょうし、ほとんどが水道水になると思います。
集合ビルなどは貯水タンクに一旦汲み上げることも多いので、確認してから該当項目に記入をして下さい。
専水とは
専用水道水の略です。専用水道水とは、井戸水等を一定規模以上の供給先に給水する施設をいいます。
簡専水とは
簡易専用水道の略です。
簡易専用水道とは
通常の水道水のみを水源とし、飲料用水をいったん受水槽に貯め供給する施設で、受水槽の有効容量が10㎥を超えるものをいいます。
小規模貯水槽とは
通常の水道水のみを水源とし、飲料用水をいったん受水槽に貯め供給する施設で、受水槽の有効容量が10㎥を以下のものをいいます。
排水
下水道に繋がってそこに流れている場合は、公共下水道へ連絡に○をします。
洗浄
自動食器洗浄機があれば自動洗浄機に○をします。洗浄槽(シンク)は2槽いるので、洗浄槽に○をしてカッコの中に2と記入します。
シンクは1槽の大きさが、幅45㎝×奥行36㎝×深さ18㎝以上必要です。これは内径の大きさです。
※自動洗浄機があれば1槽でも大丈夫です。
従業者専用手洗
手洗器は必須なので調理場に設置して流水受槽式に○とつけます。
大きさは幅36㎝×奥行28㎝以上となっています。
蛇口の水栓金具のタイプですが、良く見る、にぎって捻る回転式はおすすめできません。洗う前に触った水栓金具に水を止めるとき、もう一度触れることになるからです。
推奨されているのは、自動水栓・足踏みペダル式・セルフストップのプッシュ式、ハンドコック式が挙げられます。
消毒装置は液体せっけんが入ったプッシュ式のもので大丈夫ですが、固定式であることが求められています。付いていれば消毒装置に○をします。
消毒装置が○で囲まれていないと申請が受け付けてもらえません。必ず設置しましょう。
熱源
ガスか電気、又はそれ以外を選んで○をつけます。
食器具の殺菌
まず殺菌設備が有るかどうか選択して、有る場合は該当する項目に○をします。
お湯が出ないと許可が下りるのは難しいので、お湯は設備検査までに出る状態にして熱湯に○を付けましょう。※薬剤とは次亜塩素酸ナトリウム等のことです。
温度計
設置する場所は、調理場・作業場と冷蔵庫両方に1個ずつあるほうが良いです。金額もそれほどしないので、設置して両方に○を付けましょう。
冷凍・冷蔵
冷蔵庫は電気冷蔵庫か、その他の材質・木製設備の氷で冷やすタイプなのかを選びます。通常は電気冷蔵庫を囲むことになると思います。
木製の氷で冷やすタイプは電気冷蔵庫では食材が乾燥するからと、お寿司屋さんや、てんぷら屋さん等で導入しているところがあります。
格納
戸がついている食器をしまう棚があれば食器具戸棚に○をつけます。
食器戸棚は必ず戸がついているタイプにして下さい。戸が無いタイプだと許可が下りるのは難しいです。
そのほかに格納庫があれば、該当項目に○をつけます。
廃棄物容器
フタ付のゴミを入れる容器で、ポリ製のバケツなどがあれば合成樹脂製に○をつける。
必ずフタ付であることが求められます。臭いや汚液が漏れないようにし、害虫が繁殖しないようにしましょう。
機械器具類
お湯は出る状態にして給湯設備に○をします。その下の空欄は、その他の特殊機器があれば記入します。冷却槽、肉練り機、湯煮槽、燻煙機など。
客席(室)
換気
客室の換気は換気扇等があれば、機械による動力換気の方に○をつけます。機械が設置されていないようでしたら自然換気を選んで下さい。
採光・照明
蛍光灯などの照明器具を使用している場合は人工に○をつけます。
調理場と違い客席は洒落たデザインのものを設置しているところも多いと思いますが、清掃が行き届いていないと暗くなります。
明るさの基準ぎりぎりで設置している場合は下回ってしまう可能性もありますので注意が必要です。
倉庫
防虫・防そ(ねずみ)は、金網やねずみ返し、その他を選択して、その他のものがあればそれを記載して下さい。
更衣室
専用の衣服、履物、帽子を着用するための専用の部屋があるか、更衣箱(ロッカー)があるか○を記載します。
調理場とは別に設置するようにして下さい。
店舗の規模(面積・従業員数など)が小さい場合はなかなか専用の部屋を準備するのは難しいと思いますので、相談してみて下さい。
便所
水洗式・簡易水洗式・汲取式の中から選択します。
簡易水洗式とは、汲取り式で便器を少量の洗浄水で洗い流して便槽に貯留する構造となっているものをいいます。仮説トイレとしてイベントや工事現場で使われているタイプのイメージです。
なので、ほとんど水洗式になると思います。
トイレの防虫・防そ(ねずみ)は金網か合成樹脂製の網戸かを選択します。
手洗いは従業員専用の手洗い同様です。流水受槽式と消毒装置両方に○がつけられるようにします。
トイレはノロウイルスの汚染原因となる場所になってしまいまず。トイレに入る前にエプロン・調理着を脱ぎ、手洗い後に着用するようにしましょう。
清掃は開店前と閉店後に行うと良いでしょう。その際、調理着は着用せずに、拡散しないように汚染度の低いところから順に行っていきます。
その他参考事項
取扱食品の種類は、一般的な呼び名で大丈夫です。例:和食、洋食、ラーメンなど
従業員数と営業時間を記入します。
電話番号は営業所の番号を記載して下さい。
少し長くなりましたが、必要なところだけ拾い読みして参考にして下さい。
裏面の営業設備の配置図の書き方の詳細はこちらをご覧ください。